携帯電話料金の時効援用期間~注意点と解決策~

携帯電話料金の支払いが遅れた場合、携帯電話会社から請求書や催促状が送付されます。未払いの期間が長期間になっていると利息が追加されて高額な料金になっていることもあります。しかし、時効援用期間が経過している場合には、時効を使うことによりこの未払いの携帯電話料金を消滅させることにより、結果的に支払いをしなくてもよくなります。そこで、この携帯電話の時効に関する注意点と解決策を紹介します。未払い料金の時効援用期間とはいかに?また、支払いを請求された場合の対処法は?これから携帯電話利用料金の時効援用について学びたい方には、必見の内容となっています。

携帯電話料金の時効期間とは?

時効に関する基本的な知識

時効とは、長い間続いた事実状態に即して、権利関係や義務関係を合わせて事実状態を確定させる制度です。民法上では取得時効と消滅時効の2種類があり、携帯電話の利用代金は消滅時効を使います。そして、時効の完成によって利益を受ける者(債務者)が、時効の完成を主張することにより借金や利用代金が消滅します。民法上、「債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。」(民法166条1項1号)、「権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」(民法166条1項2号)と定められており、消滅時効を使うためには、未払いの期間が5年以上になっていることが必要です。そして、この時効が始まるのは原則的に最終取引日からとなります。例えば、最後の取引が利用であれば、その利用日から、最後の取引が返済なのであれば、その返済日から時効期間を計算していきます。但し、裁判で判決を取られた場合は、時効期間の途中に示談をするなどがあると、時効期間は更新されます。時効期間を計算する場合は民法などの法律の知識を理解しておく必要があります。


携帯電話料金の時効期間

未払いの携帯電話料金の時効期間は、消費者金融などと同じ5年間です。この時効期間が過ぎると時効が完成するため、携帯電話会社が契約者に対して未払いの料金を請求できなくなります。ただし、時効期間が過ぎても、契約者が未払いの携帯電話料金があることを承認したり、未払い料金の一部でも返済をした場合は、時効期間は一旦そこで更新されてしまい、承認や返済をした時から時効期間が再開されます。時効期間が経過し時効が成立しても、上記のように時効が更新されることがあり、期間の経過により時効成立の効果が自動的に発生するのではありません。時効成立の効果を確定させるためには携帯電話会社に対して時効援用を使って意思表示をする必要があります。

携帯電話料金の時効に関する注意点と解決策

未払いを放置した場合のデメリット

携帯電話料金を未払いのままで放置していると、2~3か月で強制解約になります。その後も、携帯電話会社より請求は続けられます。また、携帯電話料金の未払いに関する情報は、電気通信事業者協会(TCA)に登録されます。この情報は他の携帯会社も共有しているため、新たに他社で契約しようとしても審査が通らないため、他社への乗り換えや新規契約は出来なくなります。さらに、機種代金に未払いがあると、信用情報機関にも未払いの情報が登録されてしまいます。その結果、新たなクレジットカードの申込みやローンの審査が通らなくなってしまうだけではなく、利用中のクレジットカードも解約になることがあるため、生活に支障が出てしまいます。これらの不利な情報は、未払いの料金を支払う、時効援用をするなどの対処をしない限り、消えることはありません。


時効を使う場合の注意点

携帯電話料金の未払いがある場合、携帯電話会社によっては債権回収会社へ未払料金が譲渡されることがあります。このような場合に携帯電話会社に時効援用通知を送っても、時効の効果は確定しないことがあるため、時効援用通知を送る会社を間違えないように注意が必要です。また、NTTドコモの場合、請求時期により時効援用通知を送付する会社が異なっています。2012年6月以前の請求分に関する未払料金はNTTドコモ、2012年7月以降の請求分に関する未払料金はNTTファイナンスと時効援用通知の送付先が分かれています。このように、時効援用通知の送付先が元の会社と異なる場合がありますので、注意が必要です。また、過去に裁判をされて判決を取られていると、時効期間は判決の確定から10年間になります。こうなると、時効期間が長期間となるため、時効援用をして時効の効果を確定させることは非常に難しくなります。

時効援用と完済するのとどちらがいいのか

電気通信事業者協会(TCA)や信用情報機関に登録されている携帯電話料金の未払いの情報を消すためには、未払いの料金を支払うか、時効援用を使うか、などの対処をして登録された情報を消していく必要があります。携帯電話料金の未払い金額が少額であれば、一括で支払ってしまった方がいいと考えますが、利息や損害金を含めて未払料金の支払いを請求されており、その結果。請求額がかなりの高額になっているのであれば、時効援用の手続きを進めることをお勧めします。なお、時効援用は書面で送付することが多く、自分で書類を作成して送ることもできますが、安全に確実に進めていきたいと考えるなら、行政書士などの専門家に依頼して送ってもらった方がいいでしょう。


まとめ

携帯電話料金にも時効があり、時効期間が過ぎれば時効が成立します。また、時効援用をすることにより時効の効果を確定させることにより、未払い料金が消滅し支払いをする必要がなくなります。さらに、時効援用の結果、未払い料金が消滅すれば、登録されている不利な情報が消えていくため、今後、新たな携帯電話の契約ができるようになります。このように、未払いの携帯電話料金を時効援用を使って消すことにより、状況を改善することができます。一人で悩まず、専門家に相談してお悩みを解決していきましょう。携帯電話の未払いでお悩みがありましたら、当事務所へご相談ください。ご相談をお待ちしております。

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この記事を書いた人

行政書士おおとり事務所代表行政書士 鳳山幸治

略歴

  • 1976年(昭和51年)生まれ、大阪府出身
  • 関西大学法学部法律学科卒業
  • 2010年(平成22年)より大手司法書士事務所に勤務し、債務整理全般(特に自己破産、個人再生申立)の業務に携わる。
  • 2019年(平成31年)より弁護士事務所に勤務し、債務整理全般の業務に携わる。
  • 2023年(令和5年)行政書士おおとり事務所開業

資格

  • 行政書士
  • 宅地建物取引士
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

ご挨拶

行政書士おおとり事務所、行政書士の鳳山幸治と申します。
10年以上、主に債務整理を取り扱っている事務所で働いていました。
その中では様々な悩みがあり、昔あった借金で苦しんでいる方も多くいらっしゃいました。このような悩みに寄り添って解決し、皆様の法律的なサポートをしていきたいと考えています。
行政書士では取り扱うことができないお悩みは、弁護士や司法書士、税理士、法テラス等、相談先を可能な限りご案内します。
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お話をゆっくり聞きながら、共に解決できる方法を考えていきましょう。
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