自動車ローンの時効とその手続きについて

自動車ローンを長期間支払っていない場合、「消滅時効」が成立する可能性があります。消滅時効とは、一定期間が経過すると債務の支払い義務がなくなる民法上の制度です。ただし、単に時間が経過するだけで自動的に時効が成立するわけではなく、正式な手続きを踏む必要があります。本記事では、自動車ローンの時効の基本知識、時効の援用手続き、注意点について詳しく解説します。

自動車ローンの消滅時効とは?

1.自動車ローンの消滅時効期間

自動車ローンの未払いが一定期間続くと、債権者(ローン会社)は法的に回収できなくなる可能性があります。これが「消滅時効」です。自動車ローンの時効期間は以下の通りです。
①民法改正(2020年4月1日)より前
 ・銀行や信用金庫などの金融機関のローン:5年
 ・ディーラー系のローン会社(オートローン):5年
 ・個人間の貸し借り(知人や家族からの借金など):10年

②民法改正(2020年4月1日)以降
 ・銀行や信用金庫などの金融機関のローン:5年
 ・ディーラー系のローン会社(オートローン):5年
 ・個人間の貸し借り(知人や家族からの借金など):5年

契約時期が民法改正時期により時効期間が異なります。


2.所有権留保と時効の関係

自動車ローンには「所有権留保」という仕組みがあります。これは、ローンを完済するまで車の所有権がローン会社(またはディーラー)にある状態を指します。この所有権留保は、購入者が支払い義務を履行するための保証として販売店もしくはローン会社によって設定されています。そして、時効が成立しても、所有権留保がある場合は以下のような問題が発生します。
 ・車検証の名義がローン会社のままになる
 ・車を売却できない
 ・ローン会社が車を引き上げる可能性がある

所有権留保は、販売店もしくはローン会社にとってリスク回避となり、購入者にとっては自動者購入代金の支払いを分割できるため双方にとってメリットがあります。ただし、自動車ローンの支払いが完了するまでは購入者が所有権を持てないというデメリットもあるため、契約内容をよく確認し、支払い計画を立てて購入することが重要です。

3.時効成立後の所有権留保への対応

自動車ローンの消滅時効が成立した場合、ローン会社に対する支払い義務は消滅します。しかし、所有権は時効によって消滅せず、自動車ローンに対する消滅時効援用でも影響を受けないため、自動車の所有者はローン会社のまま残ってしまいます。つまり、たとえ借金の時効が成立しても、車の所有権が正式に自分のものになるとは限りません。この所有者をローン会社から自身の名義に変更するためには、ローン会社との話し合いにより所有権を放棄してもらう必要があります。ただ、自動車の価値によっては、自動車の引揚げを主張される可能性もありますので注意が必要です。ローン会社との話し合った結果、所有権の放棄をしてもらうことができれば、所有者変更の必要書類が送付されます。その書類に使って所有者変更の手続きをすれば、所有者を自分の名義に変更することができます。所有権解除の交渉が難しい場合は、弁護士や司法書士に相談するのが良いでしょう。

時効成立の条件や手続き、注意点

1.時効成立の条件

時効が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。
 ①最後の支払いから5年間、返済していない
 ②債権者(ローン会社)からの督促に応じていない
 ③借金を認める発言や書類の提出をしていない
 ④裁判や差し押さえなどの法的措置を受けていない

このうち、一度でも「借金を認める行為」(例えば「あとで支払います」といった発言や分割払いの相談など)をしてしまうと、時効がリセットされてしまいます。そのため、ローン会社からの連絡に安易に応じないことが重要です。


2.時効の援用手続きとは?

時効が成立していても、自動的に自動車ローンの支払い義務が消えるわけではありません。「時効の援用」という手続きを行うことで、初めて自動車ローンの支払い義務が消滅します。時効の援用は、以下の手順で進めます。
① 時効の成立を確認する
まず、ローン会社からの請求書や督促状により最終返済日を確認し、時効が成立しているかどうかを判断します。また、過去の取引明細や通帳を見直し、支払いがなかった期間が5年以上あるかチェックしましょう。
② 内容証明郵便で「時効援用通知書」を送付
時効の援用を行うには、ローン会社に対して「時効援用通知書」を内容証明郵便で送ります。これにより、「時効を主張します」という意思を公式に伝えることができます。書類の作成には専門知識が必要なため、行政書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
③ ローン会社の対応を確認
ローン会社が時効を認めれば、自動車ローンの支払い義務は消滅します。しかし、先ほど説明した時効成立の条件を満たしていない場合は時効が不成立となり、ローン会社が裁判を起こしてくることもあります。そのため、時効の援用をする際は、行政書士などの専門家のサポートを受けることが望ましいです。

3.時効援用の注意点

時効援用にはいくつかの注意点があります。
① 信用情報(ブラックリスト)への影響
自動車ローンの支払いをしていないと、信用情報機関に「延滞情報」として記録されることがあります。この情報は時効援用により時効が成立すれば最終的は消すことができます。しかし、時効援用後、5年間はこの記録が残ります。
② 裁判を起こされる可能性
時効成立の条件を満たしておらず、時効援用ができなかった場合、ローン会社が裁判を起こすこともあります。裁判になると時効が中断し、支払い義務が復活する可能性があるため、慎重な対応が必要です。
③ 行政書士などの専門家のサポートを受けるべき
時効援用の手続きは複雑で、少しのミスで時効援用が失敗することもあります。専門家に依頼することで、スムーズに手続きを進めることができます。


まとめ

自動車ローンの時効は、最後の支払いから5年が経過すると成立する可能性があります。ただし、時効の成立を確定させるために、「時効の援用」を行うことが必要です。また、時効が成立しても、所有権留保の解除の手続きを進めていかないと車が自分の名義にならないため、時効援用以外にも手続きを進めなければいけません。
時効を適用するかどうかは個々の状況によりますが、安易に判断せず、行政書士などの専門家と相談しながら進めることをおすすめします。

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この記事を書いた人

行政書士おおとり事務所代表行政書士 鳳山幸治

略歴

  • 1976年(昭和51年)生まれ、大阪府出身
  • 関西大学法学部法律学科卒業
  • 2010年(平成22年)より大手司法書士事務所に勤務し、債務整理全般(特に自己破産、個人再生申立)の業務に携わる。
  • 2019年(平成31年)より弁護士事務所に勤務し、債務整理全般の業務に携わる。
  • 2023年(令和5年)行政書士おおとり事務所開業

資格

  • 行政書士
  • 宅地建物取引士
  • 2級ファイナンシャル・プランニング技能士

ご挨拶

行政書士おおとり事務所、行政書士の鳳山幸治と申します。
10年以上、主に債務整理を取り扱っている事務所で働いていました。
その中では様々な悩みがあり、昔あった借金で苦しんでいる方も多くいらっしゃいました。このような悩みに寄り添って解決し、皆様の法律的なサポートをしていきたいと考えています。
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お話をゆっくり聞きながら、共に解決できる方法を考えていきましょう。
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